第105回 株式会社奥谷金網製作所

奥谷金網製作所は、従来不可能と言われていた板厚よりも小孔径の穴をあける加工技術「スーパーパンチング」を約10年前に実現した。当社の「スーパーパンチング」技術では、孔と孔との間が板厚に対して非常に狭くすることが可能で、大開孔率を確保することができるため汎用性が高く、日本国内のみならず、海外にも多くの取引先を持つ。

戦前から続く老舗の当社は、もともと取引先の多くを神戸の製造業企業としてきたが、2000年ごろ、既存顧客を守るためにメインサイト(www.okutanikanaami.co.jp/) をリニューアルしたところ、毎月5万～6万アクセスを達成し、当社が運営する5サイトの合計アクセス数は7～8万となり、日本全国に取引が拡大した。現在当社のサイトでは、技術紹介のほかカタログから注文や見積依頼まで可能だ。また、神戸本社のショールームでは、商品ラインナップを一望することができる。

また、神戸港のメリケンパークに建つ高さ22mの巨大な鯉のオブジェ「フィッシュ・ダンス」の金網は、当社が担当した。1987年に神戸開港120周年を記念して設置されて以来、阪神・淡路大震災を乗り越え、神戸市民や観光客に愛され続けている。

当社の海外戦略は、2012年のハノーバーメッセにＮＣネットワークの共同出展で参加したころから始まった。生産拠点ではなく、販売先を探るための海外展開だったため、当時付加価値を認めてもらえる欧米に照準を当てたのだ。その後、2013年にもハノーバーメッセに共同出展し、同年アメリカのシカゴに事務所を開設、2014年にはドイツのデュッセルドルフに事務所を開設した。欧米は時差もあることから、事務所を置いたほうがよいだろうという判断からだ。また、展示会出展だけでなく、JETROの輸出有望案件発掘支援事業も活用し、海外取引に関する専門家のバックアップを受けることができた。

その後、海外展開は軌道に乗り、近年は大型の総合展示会ではなく、技術に特化した専門展に出展している。そこで知り合った同業者同士で提携し、お互いの製品を販売するというネットワークづくりを進めている。今年3月もオーストラリア企業のアクションレーザー社が製造する微細レーザースクリーンの日本と中国における独占販売権を得るなど、波及効果を高めている。