第29回 東海バネ 株式会社

東海バネ 株式会社 代表取締役社長 渡辺 良機 氏 代表取締役社長 渡辺 良機 氏

東海バネ 株式会社

所在地

大阪府大阪市福島区鷲州3-7-27

TEL

06-6453-3120

FAX

06-6453-6181

担当者

真鍋 正次

事業内容

工作機械,重電関係,産業用機械用各種ばね製品

IT利用で多品種微量生産を活かす

東海バネ工業株式会社は、独自のノウハウと多品種微量生産体制の下で様々な種類の特注ばねを製造し、大きな成功を収めている。
この成功の秘訣は、何であろうか。
東海バネを率いる渡辺社長にお話を伺った。

幅広い活躍

現在、日本には約3,000社のばね製造業が存在するが、その多くが量産にシフトしてきた。その中で、東海バネは敢えてフルオーダーメイドの多品種微量生産を選び、今では約600社との取引を行っている。

個人ユースを始めとし、電車の連結部分、果ては原子力発電と、その活躍の分野は幅広い。特に電力プラントの重要な部分は、ほとんど東海バネ製品である。

多品種微量生産

東海バネは、多品種微量生産に特化している。それは、従業員にやりがいのある仕事を提供し、製品を技術に見合った価格で売るためである。

しかし当初は、過剰な材料在庫の問題があった。多品種微量生産では、必然的に多くの材料を揃えておく必要があった。また、伸び悩む新規顧客の開拓もあった。既存顧客には信頼を得られていたが、新規顧客の開拓がなかなか進まなかったのである。そんな東海バネの救世主となったのがITであった。

救世主としてのIT

1978年からコンピュータを導入した東海バネは、その後4回のバージョンアップを経て多品種微量生産のシステムを作り上げた。過去に一度でも引き合いのあった顧客から問い合わせがあればいつでもすぐに出せるといったものだ。

2002年には、以前から問題視していた材料在庫の問題と新規顧客の開拓の問題に取り組んだ。特に、ホームページのリニューアルはこれらの問題の解決に大きく貢献した。

リニューアルされた東海バネのホームページには、様々な工夫がなされている。まず、『ばね』という単語に色々な表現を使うことで、検索で必ず上位に入るようになった。訪問者が一気に増えたのは言うまでもない。

また、ばねに関する情報や専門的な事柄を一般の人にも分かりやすく解説した。さらに、自社の技術を公開し、今まで社外秘だった情報をオープンにした。これらによって大学の研究室など、それまでは全く縁の無かったところからの問い合わせにつながった。こうして、新規顧客の開拓は成功した。

材料在庫の情報を公開することで、在庫量の削減も急速に進んだ。目標としていた3年で3割減も前倒しでの実現が見えてきた。

独自の技術と製品

快進撃のもう一つの柱となったのが、最先端技術と匠の融合である。熟練した職人の技術を機械に落としこんだ、大型コイルばね製造機の『YU-KI』が一つの例だ。

熟練のばね職人でないと製造の出来ない、大型のたけのこばねも得意としている。さらに、i-MCスプリングといった、皿ばねの進化した製品も開発した。これは、普通の皿ばねでは抑えきれない振動にも対応できるように開発されたものだ。

これらの技術や製品は、創業以来60年続く「他人のやらないこと、出来ないことをやる」というこだわりが生んだものである。まさに、独自技術の賜物なのだ。

5.次のステップを目指して

東海バネの成長には、ITの有効活用と、最先端技術と匠の融合が大きな役割を果たした。

「ITはツールに過ぎない。 けれど、そのツールを育てるための投資に関しては迷わずに行いたい」

東海バネは次のステップへと跳ね上がるため、日々新たな挑戦を続けている。

株式会社エヌシーネットワーク/大塚哲久

東海バネ 株式会社

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